コウモリの会ホームページ

新石垣空港問題

 沖縄県石垣島の新石垣空港予定地で、貴重な3種のコウモリ カグラコウモリ、ヤ
エヤマコキクガシラコウモリ、リュウキュウユビナガコウモリ(コユビナガコウモリ
)の生息する洞くつが確認されました。
 新石垣空港建設問題は今から20年前に始まりました。当初海を埋め立てて建設する
計画がたてられましたが、貴重なサンゴ礁海域が失われるため、国内外で反対運動が
おこり、現在まで紆余曲折を経て、2000年3月、白保集落の北端にある「カラ岳陸上
案」が選定されました。
その予定地内の現在ゴルフ場になっている敷地内に、コウモリの洞くつがみつかった
ということです。
   以下、新聞報道(以下3紙)などからの情報で、2000年12月22日までで分か
っていることをお伝えいたします。

●八重山毎日新聞

 http://www.cosmos.ne.jp/~mainichi/daily/news/20001123.htm#01
 http://www.cosmos.ne.jp/%7Emainichi/daily/news/20001220.htm
●琉球新報  http://www.ryukyushimpo.co.jp/news01/2000/2000_11/001123a.html
●沖縄タイムス  http://www.okinawatimes.co.jp/day/200011231300.html#no_1
 http://www.okinawatimes.co.jp/day/200012191300.html
 http://www.okinawatimes.co.jp/day/200012201300.html
2000年3月 空港位置選定委員会(東江康治委員長)が、カラ岳陸上案を選定。この 後、ゴルフ場側が県に洞 くつの存在を伝える。 9月下旬、県内の環境コンサルタントが3日間に、建設予定地にある洞くつ3ヶ所を 目視で調査。空港ターミナル予定地に隣接洞窟・・210m踏査、コウモリ3種確認。 埋没する洞窟・・・・・・120m踏査。 11月22日 第3回石垣空港件建設位置地元調整会議「委員は12名」(所:八重山支 庁)議長:大浜長照(石垣市長) 委員:崎山洋一郎(日本野鳥の会八重山支部長) 、小林孝(WWFJ)、宇多勇(白保公民館長)、平良道康(大里公民館長)、白川繁利 (宮良川土地改良区副理事長)、松竹哲夫(八重山郡農協組合長)、宇根底智生(宮 良公民館長)、屋比久孟尚(県の新石垣空港建設対策室長)にて、予定地周辺の洞窟 3ヶ所に絶滅危惧種のコウモリが生息していることが報告された。 12月13日〜 県が委託した環境コンサルタント会社によるコウモリの調査が行われて いる。すでにコウモリが見つかっている洞くつ3ヶ所でコウモリの行動などを詳しく 調べるほか、生息の可能性がある石垣島内のほかの洞くつ20〜30ヶ所でも個体数など を調べる。 12月18日 沖縄県議会特別委員会(新石垣空港建設促進特別委員会)が開かれた。 ・担当者が近く環境検討委員会を発足させ、年度内に環境影響評価方法書の原案を作 成する日程などについて説明した。 ・新石垣空港建設促進特別委員会(小渡亨委員長)では、空港の位置選定をした経緯 やコウモリの保全対策などをただした。 ・屋比久孟尚新石垣空港建設対策室長は、23日に学識経験者らで構成する環境検討委 員会が発足し、地元石垣市で第一回会合、さらに年度内には環境影響評価方法書の原 案を作成するスケジュールを明らかにした。 ・保護策として屋比久室長は(1)環境検討委員会で専門家の意見を聞く(2)ター ミナルビルの位置は微調整できる(3)同ビルを滑走路の反対(東)側に移す方法も 比較検討する―などの方法を示した。 ・今月に入ってコウモリの予備調査を進めており、その結果は環境アセスメントの方 法を定める環境影響評価方法書に反映させる。 ・屋比久室長は「予備調査の段階だが、ほかにある二、三ヶ所の洞くつにも多く生息 していると聞いている。何とか保全策を見つけたい」と述べ、保護に万全を期す姿勢 を見せた。 ・今回の環境アセスは、昨年6月に施行された環境影響評価法が適用されるため、環 境影響評価方法書と同準備書の公告縦覧に対して国内外の人たちが意見を述べること ができる。 ・カラ岳陸上案に対しては選定前から厳しい反対意見が出ており、県では、公告縦覧 に対する意見も多数寄せられるとみている。 ・同委は、こうした意見に関連した助言を県に行うことになっている。 ・同方法書は、案を公告縦覧し一般の意見を聞いたあと来年8〜9月に作成、それを基 に実施した環境現況調査を準備書にまとめ、さらに公告縦覧を経て評価書を作成する 。これらが順調に進めば、2003年度中の空港設置許可申請と工事着工が可能となる。 ・屋比久室長は「陸上部分の環境調査は・・・今回は新たに発見されたコウモリが問 題となっており、これが中心になるだろう」との見解を示した。 ・県は同委の審議を受けながら環境影響評価方法書を2001年度の早い時期にとりまと め、同年度内に現況調査に入りたい考え。 12月19日 県の銘苅清一土木建築部長が19日の記者会見で、新石垣空港の環境アセ スメントに指導・助言する機関として、「新石垣空港環境検討委員会」を23日に発足 すると発表 ・同検討委の委員は、陸域と海域の動植物や赤土、地下水、潮流を専門とする大学教 授ら9人と、非政府組織(NGO)の2人で構成する。 ・任期は、2003年度に環境準備評価書が完成するまで。 ・2003年には環境影響評価書を作成し、同年内の空港設置許可申請・同取得を目指す 。 ・同委は、同案の予定地やその周辺の洞くつ3ヶ所で見付かった絶滅危惧1B類のコ ウモリの保護対策も話し合うことになっており、県は現在行っている調査結果を年明 けの第2回委員会に報告することになりそうだ。 ・23日の第1回委員会は午前10時から八重山支庁で開かれ、午前中に正副委員長の選 出(スケジュールなどを決め)や新空港問題の経過や環境影響評価法の説明を行う。 午後は、同案の現地(カラ岳陸上案の建設予定地や、絶滅危ぐ種のコウモリが生息す る洞くつ)を陸上と海上から視察する。 ・審議は一般公開される。 ・環境検討委員は次の各氏。▽太田英利・琉大熱帯生物圏研究センター助教授(陸上 動物学・陸域動物)▽大森保・琉大理学部教授(地球化学・海域水質)▽香村真徳・ 同名誉教授 (海藻生態学・海域植物)▽金城政勝・琉大熱帯生物圏研究センター助 教授(昆虫学・陸域昆虫)▽黒田登美雄琉大農学部教授(地質学・地下水対策)▽小 林孝・世界自然保護基金日本委員会サンゴ礁保護研究センター職員(NGO)▽酒井 一彦・琉大熱帯生物圏研究センター助教授(サンゴ生態学・海域動物)▽崎山陽一郎 ・日本野鳥の会八重山支部代表(NGO)▽立石庸一・琉大教育学部助教授(植物生 態地理学・陸域植物)▽渡嘉敷義浩・琉大農学部教授(土壌学・赤土対策)▽仲座栄 三・琉大工学部助教授(海岸工学・潮流解析) 年明け(2001年)の早い時期  「工法検討委員会」発足予定 【洞くつに関する参考資料】石垣島の洞穴について「沖縄洞穴実態調査報告V」(1 980年)より ・洞穴数・・41ヶ所(現在すべて残っているとは限りませんが)。この内地名に「 白保」とつくのは9ヶ所(近くの「宮良」の洞穴(7ヶ所)を含めると16ヶ所)。 この内、今回のゴルフ場内の3ヶ所は、八重山毎日新聞記事の地図より該当する洞穴 は以下のようだと考えられます。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− No   洞穴名     洞長   型   備考 405 タカヤマアブ     横 琉球石灰岩 406 8番ホールの穴  200m 横 琉球石灰岩・コウモリ見られず 407 2番ホールの穴  280m 横 琉球石灰岩・グアノあり −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 【石垣新空港建設問題についての資料】 WWFジャパントップページの白保サンゴ村から 「サンゴ礁保護研究センター」のページへ  http://wwf.aaapc.co.jp/index2.htm
 八重山・白保の海を守る会HP  http://www8.cds.ne.jp/~nature/shirahonokai/indexj.html
上記の状況をふまえ、コウモリの会としてどのように対応すべきか、評議員間で2000 年11月下旬から現在まで、経過を見守りながらの検討が進められてきました。その間 、八重山・白保の海を守る会の方からも経過について情報を提供していただきました 。その結果、第1回環境検討委員会の開かれる12月23日の前日22日に、以下の要望書 を、沖縄県自然保護課、土木建築部、新石垣空港建設課、および新石垣空港環境検討 委員会の委員各位、沖縄県の新聞社各位にFAXまたは郵送にて送りました。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− <十分なコウモリ調査実施の要望書>  私たち「コウモリの会」(会員約400名)は、以下の理由より、石垣島の新石垣 空港建設問題に伴う環境アセスメント調査として行われるコウモリ類の調査に対し、 十分なデータを得られるべく、配慮して実行される事を要望します。  すでに新聞等で報じられていますように、3種のコウモリ類(カグラコウモリ、ヤ エヤマコキクガシラコウモリ、リュウキュウユビナガコウモリ) は、環境庁のレッ ドリストにいずれも絶滅危惧種として掲載されている事で、その重要性につきまして は理解をされている事と思います。  さて、私どもコウモリの会が要望するコウモリの調査について、ご説明いたします 。 (1)コウモリの生態に詳しく、種の同定能力も有する専門家に、調査をお願いして ください。  コウモリの生態の知識や同定能力なしでは、有効なコウモリの調査は無理です。コ ウモリは一般に生態などがあまり知られていないため、その調査にはかなりの専門性 を有する人か団体でないと無理です。  例えば、種や年齢の判別が不明な「コウモリが100頭いた」だけの調査や報告で は、石垣島内の鍾乳洞を3種のコウモリがどのように周年移動し利用しているのかが 分かりません。そのため、このような利用がされているので、これこれの対策が必要 といった判断のしようがありません。  同様に、コウモリは種によりねぐらの選択場所が異なるため、種それぞれに異なる 対応策が必要なはずです。  このことからも、同定能力があり、コウモリの生態を十分に熟知した方に、調査を 依頼していただくようお願いいたします。 (2)年間を通した調査をお願いいたします。  コウモリは季節(活動状況:冬眠期、出産期、保育期、交尾期など)により利用す る洞窟及びその場所を変えるため、年間を通じた種や年齢の判別をした調査が必要で す。そして、その調査結果より、年間を通したコウモリ類の生活環境の確保をお願い いたします。 (3)調査の際に、ディスターブに十分配慮できる知識と経験の積んだ方に調査をお 願いしていただき、調査によるディスターブに配慮してください。  コウモリは、観察等による人のディスターブを受けやすく、特に冬眠期や冬眠しな い種の冬期の活動の低下する時期(冬眠期に冬眠から何度も起こされると、冬眠用の エネルギーをなくして冬眠失敗で死亡してしまう可能性が高くなります.)、出産期 (ショック等で早産してしまい、子どもが親にしがみつけなくなる事で落下して死亡 する)、保育期(危険を察知したり、ストレスから授乳停止や保育場所を放棄してし まう可能性が高い)の調査観察には、細心の注意を必要とします。  以上のことを知らずして調査を行うと、保護のための調査自体がコウモリへの多大 な悪影響となる恐れがあります。従って以上を十分理解した調査の実行を望みます。 (4)ねぐらである洞くつのみでなく、餌場としての周囲の自然環境の変化について も十分に考慮した対策をお願いします。  隠れ家としての鍾乳洞のみが問題視されていますが、コウモリの生息には採餌場所 である野外の植生が非常に重要です。つまりどのような植生のところでどのような餌 となる昆虫を食べているかです。  鍾乳洞については石垣島内に30〜40個ほどあるとの事ですので、棲息できるだ けの収容能力がまだあるならばコウモリが移動してくれるかもしれません。しかし、 現在の石垣島の様に森林面積の少ない状況からすると、コウモリが採餌が出来ないよ うな広大な空き地(空港)が出来た場合にそれを補うような措置が必要と考えられま す。この措置を考えるためには、予定地及び周辺でのコウモリの採餌場所としての利 用頻度や食性等を含めた調査が不可欠と考えられます。  以上を考慮された上での十分なコウモリの調査の実施を望みます。  なお、新石垣空港環境検討委員会の委員の方々には、郵送させていただきました。 平成12年12月22日   コウモリの会 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
※ここまで、2001年1月時点でのまとめ


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