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新石垣空港整備事業に係る環境影響評価準備書への環境の保全の見地からの意見書



                          平成16年5月11日付
沖縄県知事 稲嶺惠一 殿

              提出者 住所 岐阜県多治見市赤坂町5−1−217
                  氏名  コウモリの会 会長 山本輝正


新石垣空港整備事業に係る環境影響評価準備書への環境の保全の見地からの意見書

 新石垣空港整備事業に係る環境影響評価準備書について、環境の保全の見地から次の
とおり意見を申し述べます。

 なお、今回意見を述べるに当たり参考にしたのは、「新石垣空港整備事業に係る環境
影響評価準備書」と「平成13年度 新石垣空港コウモリ類調査業務 報告書」、「平成
14年度 新石垣空港コウモリ類調査業務(その2) 報告書」です。



(意見の要旨)

 小型コウモリ類についての調査は非常に詳しく実施されていると思います(「平成13
年度 新石垣空港コウモリ類調査業務 報告書」及び「平成14年度 新石垣空港コウモ
リ類調査業務(その2) 報告書」)。
 しかし、その結果作成された「新石垣空港整備事業に係る環境影響評価準備書」には
、その成果が正確に反映されているとはとても考えられません。
 
 以下に個々の次項について意見を述べます。
 以後、「新石垣空港整備事業に係る環境影響評価準備書」を「準備書」、「平成13年
度 新石垣空港コウモリ類調査業務 報告書」を「13年報告書」、「平成14年度 新石
垣空港コウモリ類調査業務(その2) 報告書」を「14年報告書」として記します。


1・長期的に見れば石垣島の小型コウモリ類は、減少方向に向かっており、その上さら
に追い打ちをかけると考えられるような空港建設は行うべきでないと考えます。最低限
、現空港の拡張を検討すべきです。


2・どのような資料を検討されて「改変を受けない場所にコウモリの生息洞窟があるこ
とから、調査地全体では生息場所が確保されるものと予想される」との結論を出された
のですか。
 また、A〜D洞窟の生息数は準備書p6−12−147に報告されている石垣島全体で確認さ
れている個体数の3分の1に相当しています。このような重要な洞窟を消滅させて良い
はずがありません。A洞窟は残るとしても滑走路の近くわずか200m程度の位置になりま
す。工事や完成後の航空機の騒音の影響が無いと言い切れる根拠も示してください。


3・14年報告書には一つ一つ事実を積み重ねて、新空港の建設工事を実施すれば石垣島
の小型コウモリ類の地域個体群の損失を招き、石垣島全体の小型コウモリ類の生存に影
響を与えるだろうと指摘し、建設の決定は注意して行うべきだとまで言い切っている事
実をどのように準備書に反映されたのですか。
 環境影響調査における現地調査結果を、準備書では無視した記述をしてもいいのです
か。


4・準備書のコウモリに関する環境保全措置の効果の不確実性の項目において、全て「
検証が困難」であるにもかかわらず、コウモリ類への影響が概ね回避又は低減されると
結論づけるのは間違っています。


5・航空機運用に対する影響評価が、間違っています。


6・空港建設に伴い交通量増加が及ぼす全ての影響について、追加調査を実施しその影
響について検討をすべきです。


7・沖縄県希少種のヤエヤマオオコウモリについては、全くと言っていいほど調査がさ
れていません。空港建設による影響を含めて、生息状況の調査を行い、結果を公表すべ
きです。


8・コウモリ類の環境影響予測の評価の結論の部分を、環境保全措置を講じるではなく
、以下のように訂正してください。
「新空港を建設することは、石垣島のコウモリ個体群の存続に影響を与えることが13年
度および14年度調査で明らかになった。したがって、環境保全の見地から、新空港の建
設は見合わせるべきである。」


9・コウモリ類の環境影響予測の評価の森林保全に関する記述の部分を、以下のように
訂正してください。
 「コウモリ類の石垣島全体の個体数の増減には、島全体の土地利用の自然環境の状況
の変化とも密接な関連を持つと考えられ、石垣島における森林の維持、増加は重要であ
ると考えられるが、一方で、森林保全と同時に、ねぐら自体の維持も重要であることは
、これまでのコウモリ類における保護対策に関する文献でも明らかである(たとえば、
前田;2002a*,2002b*,2002c* 佐野;2001*など)。従って、新空港建設に伴うねぐらの
消失は、石垣島のコウモリ類の個体数の増減に影響を及ぼすことは明らかである。」





(意見の理由)

1・文献調査(準備書p6-12-143)より、下謝名(1980)は、マリヤノザーではグアノの
蓄積量から類推して以前は小型コウモリ類が(一つの洞窟でも)数万個体いた可能性を
指摘している。また、石垣市教育委員会(1984)にも、これら2種の個体数が石垣島で
は近年大変減少している(準備書p6-12-144)と指摘している。
 そして、コウモリの生息数がかなり多い西表島(準備書p6-12-144)の森林率は90%
であるのに対し、コウモリ類が絶滅した宮古島、伊良部島、南大島の値(7〜17%)に
石垣島の森林率37%は近い(準備書p6-12-240)ことを考えれば、小型コウモリ類のね
ぐらの消失や環境悪化、採餌場所や移動通路の消失を伴う新空港建設は、減少傾向に加
速をかけると予想される。この様な新空港建設は中止すべきで、現空港の継続使用を検
討すべきである。

 さらに準備書p6-12-144では「沢田(1978)によると、開発のため森林伐採が進んだ
沖縄本島や宮古島におけるコウモリ類の危機的な状況と比較して、森林が残されている
石垣島や西表島では現在のところ、コウモリの生息数もかなり多いとしている」と文献
を紹介し、文献および資料調査の結びにしていますが、その18年後に出された沢田(19
96)*には以下のような記述があります。
「石垣島(以下、1977年〜1983年にわたり、3回に分けて行った石垣島の各洞くつの調
査概要の記述が入る。中略)・・・・・以上、3回の調査を振り返り、石垣島にはカグ
ラコウモリ、イシガキコキクガシラコウモリ(注;学名よりヤエヤマコキクガシラコウ
モリと同種)、リュウキュウユビナガコウモリ及びクビワオオコウモリが生息し、野生
動物に著しい悪影響を与えるような自然破壊には遭遇しなかった。ところが、12年後の
1995年12月に石垣島を訪れたところ、牛がのんびり草をはんでいたマリア牧場の中に開
口するマリアイザーが観光化されて広い駐車場を備えた竜宮城鍾乳洞となり、洞内に入
ると各所に蛍光灯が設置され、洞床にはコンクリートの歩道が作られ、常時多数の観光
客が入れるようになっていた。・・・中略・・・さらに伊原間洞も最近観光洞に変わり
、平野洞も入洞が禁止されたとか。一方、南では第一フクブクイザー、第二フクブクイ
ザーが産業廃棄物の捨て場化として洞口が
見えにくくなってしまった。」(注、略部分以外、原文通り) そして、まとめの部分
は以下の記述があります(全文)。
「私が沖縄諸島の洞穴棲コウモリの調査を行ってから既に9〜19年を経過した。この間
、バブルの波が小さな島まで押し寄せ、リゾート開発が行われた結果、自然破壊が目立
ち、沖縄本島に見られるように、ようやくコウモリの生息数が増加しかけた矢先に石灰
洞が破壊されたり、観光化されてコウモリの生息環境が著しく悪化してきた。これから
先、沖縄諸島に生息するコウモリの行方はどうなるのか。これ以上自然破壊を許す行政
に対して、何とか歯止めをかけられぬものか、為政者の良心を問う。」
 すなわち、沢田(1978)の時点では、石垣島のコウモリの生息数はかなり多い、とし
ていたものの、沢田(1996)では、石垣島の環境が大きく変化し、危機的な状況にある
ことが判明し、これ以上の自然破壊に警告を発しています。沢田(1996)を引用せず、
沢田(1978)のみを引用するのは不適切です。
 短期間でしか行えない環境アセスメント調査に対し、長期的な調査継続をしてきた研
究者の意見と調査結果は、大いに尊重すべきものではないでしょうか。準備書(p6-12-1
43〜145)の文献調査の結びには、上記の沢田(1996)のまとめの言葉を全文引用し、こ
れまでの資料、文献による長期的な調査結果によると、これ以上の自然破壊を行うこと
は沖縄諸島に生息するコウモリの生息を脅かすものであると明記すべきです。

*引用文献
沢田勇.1996.「日本のコウモリ洞総覧」こぼれ話-沖縄県の巻-.奈良産業大学紀要、12
:77-94.
準備書p6−12−240には投稿中の原稿の内容が記述されている。印刷中ではない原稿が
このような公の文書に記述されるのはきわめて奇異である。


2・準備書(p6-12-196、p9-16)に「改変を受けない場所に小型コウモリ類の生息す
る大規模洞窟が1カ所、小規模洞窟が1ヵ所あり、・・・カグラコウモリの生息洞窟が3
ヵ所あることから、調査地全体では生息場所が確保されるものと予想される。」とある
が、A洞窟やC洞窟、D洞窟の内部環境及び構造と小型コウモリ類による利用状況とそ
れらの洞窟との比較検討を行わず、資料も示さずに「調査地全体では生息場所が確保さ
れるものと予想される」などと言うのは環境影響調査結果をあまりにも無視した、きわ
めて非科学的態度ではないか。
 この点について、現地調査を実施し、結果を公表すべきである。


3・@準備書(p6-12-213)に、「・・・予定地の洞窟を利用しているコウモリ類は、
他の洞窟へ移動できると考えられる。」とあたかも予定地の洞窟が消失しても他の洞窟
へ移動して特に影響がないかのような記述になっている。しかし、14年報告書には、何
度も消失予定のC洞窟の重要性が指摘がされている(14年報告書p2-33、p7-11、p9-
13)。この島におけるコウモリ類が他の洞窟へ移動できることはどのような科学的根拠
によっているのですか?
 
 A「A洞窟やD洞窟がコウモリ類に利用されなくなる可能性は低いと考えられる(p
6-12-241)」とあたかも予定地の洞窟の環境が悪化しても特に影響がないかのような記
述になっている。しかし、14年報告書には、何度もこのA洞窟やD洞窟の重要性が指摘
されており(14年報告書p2-33、p7-11、p9-13)、洞窟内の微妙な環境の変化がコウ
モリ類による利用に影響することを指摘している(14年報告書p4-6、p4-7、p4-11)
。
 
 B現地調査で77もの洞窟が確認されているのに、3種のそれぞれの小型コウモリ類が
利用する洞窟がその半数以下であり、出産哺育や冬眠に利用する洞窟はさらに少ないこ
と(p6-12-148〜p6-12-152)はなぜなのかの意味が、準備書では全く理解されずに記
載されている。もっとしっかりと生態的な検討を加えて結論を出すべきである。

 C13年報告書及び14年報告書は、石垣島の洞窟の周年にわたるコウモリの生息状況や
空港予定地の飛翔通路、餌昆虫調査、食性調査、集団遺伝学調査等々により一つ一つ事
実を積み重ねて、新空港の建設工事を実施すれば石垣島の小型コウモリ類の地域個体群
の損失を招き、石垣島全体の小型コウモリ類の生存に影響を与えるだろうと指摘し、「
建設の決定は注意して行うべきだ」とまで言い切っている。
 しかし、準備書(p9-16)では、「事業の性格上、消失は不可避」と調査結果の事実
を全く無視した記述である。環境影響調査における現地調査結果を、準備書では無視し
た記述をしてもよいのですか。調査結果は、どのように準備書に反映されるのですか。


4・準備書(p7-6〜p7-7)のコウモリに関する環境保全措置の効果の不確実性が、全
て「検証が困難」とあります。

 @餌場確保に必要なのは、緑地ではなく森林地(14年報告書p5-4)です。
また、「緑地確保を関係各機関に要請する(準備書P7-6)」とありますが、この要請の
効果はどの程度実効性のあることなのですか。空港建設後には、ホテル建設やレンタカ
ー店等の施設が付近に建設され緑地が減ることはあっても、現状維持ましてや増加する
ことなど望めないのではないか。
 したがって、周辺の緑地の公有地化等、緑地を確実に担保する手段とその面積を明記
しなければ評価ができないのではないか。

 A「人工洞の設置の検討をする(準備書P7-6)」とだけしか記述がないのに、効果と
して「影響が低減される」とするのは間違っていませんか。
 本当に設置するのであれば、「どのコウモリ(ヤエヤマコキクガシラコウモリか?、
カグラコウモリか?)」の「どのような時期(出産哺育期か?、冬眠期か?、一時的な
利用か?など)」の利用を考えて、「どこ」に「いくつ」設置する計画なのかの記述が
なければ、評価できないのではないか。

 BA洞窟とD洞窟の出産哺育期及び冬眠期の工事は、「専門家の意見をふまえて工事
を進める(準備書P7-7)」のであれば、「影響が低減される」とするのは不可能であろ
う。 これらの時期の工事は中止すべきである。
 また「専門家」とはカグラコウモリやヤエヤマコキクガシラコウモリ、リュウキュウ
ユビナガコウモリの生態・行動を研究されている研究者ですか?
 なぜ引用しているコキクガシラコウモリ(ヤエヤマコキクガシラコウモリの近縁種)
の出産哺育場所放棄(準備書P6-12-215)から工事中止の結論を出さずに、別種のキク
ガシラコウモリの詳しい状況(生息頭数や生息時期等)も記述しない例を引用して、発
破の影響が無いかのような記述をするのか。
加えて、準備書6−12−215「山口県美祢郡秋芳町・・・・私信)」は本人及び当
時の館長に照会したところ、かなりの部分が誤りであることが判明した。工事以前の保
育集団の規模は200ではなく、数千頭であったこと、以後保育には全く使われなくな
り、冬眠洞窟としての利用が200頭程度となったのである。このような不正確さは電
話での照会が行われたせいである。このような公式の準備書に記述されるには余りにず
さんな処置といわざるを得ない。

 以上より、コウモリ類への影響が概ね回避又は低減されると結論づけるのは全く間違
いである。


5・@A洞窟がヤエヤマコキクガシラコウモリの出産哺育に利用されているにもかかわ
らず、「滑走路の中心から約170m離れており、地表から約3mの深さと推定された。・
・・飛行機の離発着に伴う騒音・震動が洞窟内にどの程度伝わるか不明である」にもか
かわらず「170m離れているから、コウモリ類の生息に影響が及ぶ可能性は少ないと考
えられる」(p6-12-237)と言っている。影響が不明であるのに、理由もなく、影響が
ないかのごとく結論づけるのは間違いである。 

 AD洞窟がカグラコウモリの出産哺育場所及び冬期の休眠場所として利用されている
にも関わらず、「洞口付近での騒音は最大85〜90dBと予想された。飛行機の離発着に伴
う騒音・震動が洞窟内にどの程度伝わるか不明である。」としながら、他種のコウモリ
(ヤエヤマコキクガシラコウモリ)の例をとり「これより大きな騒音でも冬期50頭の利
用があったとして、コウモリ類の生息に影響が及ぶ可能性は少ないと考えられる(準備
書P6-12-237)」としている。
 準備書(P6-12-148)で、100頭以上を冬期の休眠場所としての利用を確認として認定
する卓見をしておきながら、冬期に50頭しか利用していない洞窟を引用して影響が少な
いなどと記述するのは、準備書に一貫性がないと言えないか。また、年間を通しての利
用状況を示さずに、冬期だけの利用を示して大きな騒音でも影響が無いと言うのは、あ
まりにも乱暴な結論であると考える。
 さらにコウモリ類は種ごとに、その選択性等も違うので、全く別種を例に出しても、
当てはめて考えることは出来ない。
   また、洞口付近ではなく、洞内へ騒音がどの程度入ってくるのかが、影響を考える
上でより重要なことではないのか。そうであるならば、今後その調査を実施して、結果
を公表すべきである。


6・空港建設に伴い交通量増加は、振動や騒音の影響は言うに呼ばず、夜間に車から出
されるライトの影響、交通量自体が増加することによる車による道路の遮断の影響につ
いて検討をすべきである。
 航空機による一時的な振動や騒音だけでなく、空港が出来ればこれまでとは比べもの
にならない車の交通量となり、洞窟に及ぼす振動や騒音は一時的で無く継続的なものと
なり影響を与えるものと考えられる。また、交通量が増えることで夜間に車から出され
るライトもコウモリの移動や採餌飛翔へ影響を与えると考えられる。
 また、夜間小型コウモリ類が道路を横切る際、交通量が増えることで車自体が、道路
の横断を妨げる(移動通路の遮断)影響も考えられる。
 以上の点について、追加調査を実施し、その影響について検討をし、結果を公表すべ
きである。


7・沖縄県希少種のヤエヤマオオコウモリは、準備書(P6-12-15)で、小型コウモリ類
以上に出現頻度があるのに、空港建設による影響調査を含めて、生息状況の調査が行わ
れていない。
 建設地及び周辺に何頭生息し、また繁殖コロニーがないのか、建設によりどの程度が
影響を受け、移動を余儀なくされるのか、他所に移動した場合、石垣島全体のヤエヤマ
オオコウモリ個体群にはどのような影響を与えるのか。さらに、移動により農業被害を
起させる心配はないのか,等の調査を是非実施すべきである。
  また、オオコウモリ類については、その生息数によっては、航空機との衝突(バット
ストライク)の可能性があり、海外では離着陸時間の制限などの対応策がとられている
空港もある。航空機の安全航行の面からもヤエヤマオオコウモリの生息状況の調査と影
響調査をするべきである。


8・準備書(P6-12-240)で引用されている下記の記述について、工事の実施中および
供用後において、コウモリ類の個体群の存続を図るための環境保全措置を講じる、とあ
りますが、新空港を建設することがコウモリ類の個体群の存続に影響を与えることは「
13年報告書」および「14年報告書」によって明白になっています。それにもかかわらず
、空港建設を進めるための代替案を提案することで、建設は大前提であるかのような記
述は、環境影響評価書として不適切です。
 コウモリ類の環境影響予測の評価を、以下のように訂正すべきです。
「新空港を建設することは、石垣島のコウモリ個体群の存続に影響を与えることが13年
度および14年度調査で明らかになった。したがって、環境保全の見地から、新空港の建
設は見合わせるべきである。」


9・準備書によると、「コウモリ類の石垣島全体の個体数の増減には、当該事業だけで
なく、島全体の土地利用の自然環境の状況の変化とも密接な関連を持つと考えられる」
とあり(P6-12-240)、続いて、石垣島における森林の維持、増加の重要性が書かれて
います。
 それ自体は最もな意見ですが、森林の維持と洞くつの維持は同時に行われなくてはな
らないものです。問題のすり替えをしないでください。コウモリ類の環境影響予測の評
価のこの部分を、以下のように訂正すべきです。
「コウモリ類の石垣島全体の個体数の増減には、島全体の土地利用の自然環境の状況の
変化とも密接な関連を持つと考えられ、石垣島における森林の維持、増加は重要である
と考えられるが、一方で、森林保全と同時に、ねぐら自体の維持も重要であることは、
これまでのコウモリ類における保護対策に関する文献で明らかである(たとえば、前田
;2002a*,2002b*,2002c* 佐野;2001*など)。従って、新空港建設に伴うねぐらの消失
は、石垣島のコウモリ類の個体数の増減に影響を及ぼすことは明らかである。」


*参考文献
前田喜四雄.2002a.カグラコウモリ.「改訂・日本の絶滅のおそれのある野生生物-レッ
ドデータブック-1 哺乳類」(環境省編),pp58-59.財団法人自然環境センター,東京.

前田喜四雄.2002b.ヤエヤマコキクガシラコウモリ.「改訂・日本の絶滅のおそれのある
野生生物-レッドデータブック-1 哺乳類」(環境省編),pp56-57.財団法人自然環境セ
ンター,東京.

前田喜四雄.2002c.リュウキュウユビナガコウモリ.「改訂・日本の絶滅のおそれのある
野生生物-レッドデータブック-1 哺乳類」(環境省編),pp78-79.財団法人自然環境セ
ンター,東京.

佐野明.2001.石川県出雲廃坑群におけるキクガシラコウモリ個体群の研究.三重県科学
技術振興センター林業技術センター研究報告第13号,1-68.


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