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新石垣空港整備事業に係る環境影響評価書に対する環境大臣意見をふまえての要望


                           平成17年5月12日
沖縄県土木建築部
 新石垣空港建設対策室 様

新石垣空港整備事業に係る小型コウモリ類検討委員会
 委員長  東 清二 様

                          コウモリの        
                         会長 山本輝正

 さる4月15日に「新石垣空港整備事業に係る環境影響評価書に対する環境大臣意見
」が出されました。環境大臣意見は、石垣島の自然保護のためによく指摘していると考
えます。これを尊重し石垣島の自然が保護されるように、以下の点を要望します。

要望1
・環境大臣意見のなかの「1・小型コウモリ類への影響」のところで「可能な限り回避
または低減するする必要がある。」との記述があります。これは「回避または低減でき
なければ、空港をここに建設すべきではない」ととらえるべきだと考えます。したがっ
て、空港を建設しても「影響を回避または低減することが可能なのか」を検討すること
を要望します。
 なお、この際「すでに建設することが決まっている」などと言う、アセスメントを行
う意味を考えないような対応はしないで下さい。

要望2
・環境大臣意見のなかの(1)で「小型コウモリ類が、出産・ほ育の場として利用して
いるA洞窟及びD洞窟については、その保全に万全を期すること。」との記述がありま
す。内部環境及び外部環境の改変をしないよう万全を期することを要望します。 

要望3
・環境大臣意見のなかの(2)で「消失するとしているB洞窟、C洞窟及びE洞窟につ
いては、出来る限り継続して小型コウモリ類が継続してこれらの洞窟を利用できるよう
、実態、機能等について専門家の指導・助言を得た上で、可能な限り保全すること。ま
た、検討の過程及び講じる措置を評価書に記載すること」の記述があります。
これは、「十分な保全ができなければここに空港を建設しない」ととらえるべきだと考
えます。「ここに空港を建設しない」ことも含めての検討を行うことを要望します。
 さらに、現在の「新石垣空港整備事業に係る小型コウモリ類検討委員会」にはコウモ
リ類に関係したメンバーが5名中2名(分類と保護の専門家)しかいないのは不十分で
す。沖縄のコウモリ類の生態または行動の専門家を委員として追加することを要望しま
す。なお、環境検討委員会のメンバーであり、当アセスメントを行っている団体の理事
長である○○・・・氏がこの小型コウモリ検討委員会に参加していることは、公平さの
点からおかしいと思います。

要望4
環境大臣意見のなかの(3)で「・・A〜E洞窟以外に確認されている洞窟については
、・・追加調査を行うこと。・・・専門家の指導・助言を得た上で、可能な限り保全す
ること。また、検討の過程及び講じる措置を評価書に記載すること」の記述があります
。私たちはこれまで行ってきたA〜E洞窟の調査と同等程度の規模に相当する追加調査
を複数回の出産・哺育期及び冬眠期の調査が必要と考えます。

要望5
・環境大臣意見のなかの(4)で「見直しを含めた適切な措置を講じること。また、検
討の過程及び講じる措置を評価書に記載すること」の記述があります。これは、これは
、「見直しを含めた適切な措置を講じることができなければ空港を建設すべきでない」
ととらえるべきだと考えます。「ここに空港を建設しない」ことも含めての検討を行い
、検討した案のそれぞれについて評価書に追加記載することを要望します。

要望6
・環境大臣意見のなかの(5)で「これらの検討の過程及び講じる措置を評価書に記載
すること」の記述があります。これより、「空港を建設をしない場合」及び各措置を行
った場合などでどのような影響等がでるか等をそれぞれの場合において検討し、その経
過を個々に記述し、なぜその方法を選んだかを評価書に追加記載して、公表することを
要望します。

要望7
・環境大臣意見のなかの(7)で「離発着による騒音・振動を加えること。事後調査の
結果により影響が著しいと判断される場合は、専門家の指導・助言を得た上で適切な措
置を講じること。また、その旨を評価書に記載すること。」の記述があります。
この中での「離発着による騒音・振動を加えること」は、調査の追加を意味していると
考えます。追加調査を実施し、その結果を公表することを要望します。
 また、「 事後調査の結果により影響が著しいと判断される場合」の基準を明確にし
てください。

要望8
・環境大臣意見のなかの(8)で「すでに確認されている洞窟と同様に・・・調査を行
い、・・専門家の指導・助言を得た上で適切な措置を講じること。また、その旨を評価
書に記載すること」の記述があります。
 「すでに確認されている洞窟と同様に・・・調査を行い」とは、これまで行ってきた
A〜E洞窟の調査と同等程度の規模に相当する調査を複数回の出産・哺育期及び冬眠期
の調査(2年以上)を必要としていると考えます。未調査の洞窟については、その「ね
ぐら」としての利用状況を確認するためにも複数年の調査の実施及び評価書へ追加記載
して公表することを要望します。

要望9
・環境大臣意見のなかの(9)で「人工洞窟・・」は、早期に設置し検討をすることを
意味していると考えます。人工洞窟が沖縄県産のコウモリ類の「ねぐら」としてどれほ
どの価値があるのか、できるだけ早く設置し確認作業を実施することを要望します。

要望10
・環境大臣意見のなかの(10)で「小型コウモリ類の保全については、・・・周辺の
洞窟の保全や採餌場としての林地の保全等周辺の土地利用が極めて重要・・・、小型コ
ウモリ類の生息に影響を与えないような土地利用が図られるよう 情報の提供、石垣市
や沖縄県等の関係機関への要請などを行うこと・・」の記述があります。どのような形
で要請を行い、その結果どのような形で周辺の緑地保全か確保出来るのかまでの事を評
価書に追加記載して公表すること要望します。


なお、この要望書につきましては、コウモリの会のHPに掲載するとともに関連のメーリ
ングリストに配信する予定です。


                 コウモリの会事務局


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