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回答書(土石第10915号 平成17年3月31日)に対する再度の質問書

※2005年9月7日付で、回答文書が届きました。

                         平成17年6月12日

 沖縄県知事
  稲嶺惠一 様
                           コウモリの会
                            会長 山本輝正

回答書(土石第10915号  平成17年3月31日)に対する再度の質問書


 平成17年1月21日にコウモリの会では、別紙のような質問状(資料1)を提出いたし
ました。その際の回答書(資料2)に以下のような記述があります。

b・事業スケジュールに合わせた保全目標を示してください
回答.事業実施に合わせて早い時期に保全措置を実施していきたいと考えています。

c・保全目標の達成をモニタリングするための調査計画を示してください
回答.具体的には、「新石垣空港整備事業に係る小型コウモリ類検討委員会」に図り、
指導・助言を得て実施していく予定です。

e・保全目標の達成を評価する必要がありますが、達成基準を示して下さい
回答.石垣島全体で総合的に判断することを考えております。具体的には、「新石垣空
港整備事業に係る小型コウモリ類検討委員会」に図り、指導・助言を得て実施していく
考えです。

 そこで、この回答に対しまして再度質問書を提出いたします。

 現在開かれている小型コウモリ類検討委員会これまでにない頻度で開催をされており
ます。そこで先の質問書で、「・・具体的には、「新石垣空港整備事業に係る小型コウ
モリ類検討委員会」に図り、指導・助言を得て実施していく考えです。」との回答を頂
きました。そこで、@「この委員会でどのような検討をしたのか」、A「どのような指
導・助言を得たのか」、B「どのような措置を実施していく予定なのか」を回答してく
ださい。

 なお、この要望書につきましては、コウモリの会のHPに掲載するとともに関連のメー
リングリストやマスコミ各紙等に配信する予定です。

                 コウモリの会事務局
               〒249-0001 神奈川県逗子市久木8-20-3      
                TEL,FAX 046-873-3677

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資料1
                         平成17年1月21日
 沖縄県知事
 稲嶺惠一 様
                            コウモリの会
                            会長 山本輝正

 新石垣空港整備事業に係る環境影響評価準備書に記載されているコウモリ類への環
境影響評価予測とその保全措置についての質問状

 新石垣空港整備事業に係る環境影響評価準備書について、環境の保全の見地から次
の件について、回答を求めます。

1.コウモリ類の出産哺育こそ確認されていないものの、冬季には多数のヤエヤマコ
キクガシラコウモリが利用するB、C、E洞が、今回の事業により消失しても、大きな
影響はないとする根拠は何ですか?

2.A 、D洞が保全されることが「島全体の個体群」に影響が少ないとする根拠になっ
ているが、洞口が事業予定区域からわずかにはずれるだけで(しかもこれまでに公開
された資料から判断すると、地下の主洞は事業区域内へ延びており、A洞におけるコ
キクの産室はドレーン層の直下にあたると考えられます)、両洞穴の環境がこれまで
どおり健全に維持されると考える根拠は何ですか?

3.「環境影響評価準備書」に記載されていた環境保全対策は具体性に欠けるもので
した。また、現在作成されている「環境影響評価書」に、意見に対する回答が掲載さ
れているとしても、その回答について検討する場は設けられておらず、結果として事
業主の提案した環境影響評価とその保全対策が適切でない場合でも、国民がそれを訴
える場がありません。
 これでは、影響があると判断された際の事業の見直しなども含めた適正な環境保全
措置を行うための、事業者と国民の合意が得られるとは思えません。
 以上の理由から、最低限、具体的な下記項目についての見解を現段階で確認してお
く必要があると考えますので、下記項目についても回答をお願いします。

 a・保全目標個体数は、何頭ですか? 種別に回答してください
 b・事業スケジュールに合わせた保全目標を示してください 
 c・保全目標の達成をモニタリングするための調査計画を示してください
 d・調査はどのような組織、メンバーが行いますか 
 e・保全目標の達成を評価する必要がありますが、達成基準を示して下さい 
 f・評価組織はどのようなメンバーで構成されますか 
 g・評価結果は公表されますか。公表される場合、それはいつですか 
h・保全目標の達成に危惧が生じた場合、保全計画の見直しが必要になりますが、
  速やかな対応ができますか
 i・保全目標の達成が困難と判断された場合には、誰がどのような対応をとります
か 
 j・保全計画の中で、積極的にコウモリ類の生息環境を向上させる考えはあります
か 

 以上につきまして、「調査結果をもとに総合的に判断した」というような抽象的な
回答ではなく、判断の具体的な根拠をお示しください。
 本会ではこれまでにも、意見書を提出してきましたが、ご回答を得られないので、
今回は2月14日(月)までに必ず回答くださいますようお願いします。

           コウモリの会事務局
           249-0001 神奈川県逗子市久木8-20-3
                 TEL,FAX 046-873-3677

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資料2
                            土石第10915号
                             平成17年3月31日
コウモリの会
 会長 山本輝正
                          沖縄県土木建築部
                                                    新石垣空港建設対策室
                                                    室長 譜久島 哲三

 新石垣空港整備事業に係る環境影響評価準備書に記載されているコウモリ類への環
境影響評価予測とその保全措置についての質問状について


 平成17年1月21日付けで提出された標記の件について、別紙の通り回答いたし
ます。

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 新石垣空港整備事業に係る環境影響評価準備書に記載されているコウモリ類への環
境影響評価予測とその保全措置についての質問状(回答)

   1.コウモリ類の出産哺育こそ確認されていないものの、冬季には多数のヤエヤ
    マコキクガシラコウモリが利用するB、C、E洞が、今回の事業により消失して
    も、大きな影響はないとする根拠は何ですか?

 (回答)小型コウモリ類に関しては平成13年度から調査を行っております。建設
予定地を含む石垣島の75の人工洞窟、自然洞窟を調査しており、ヤエヤマコキクガ
シラコウモリ(以下コキクと言う。)は、38箇所の洞窟で利用を確認しております。
 また、集団遺伝学的分析の結果から、コキクは石垣島全体で一つの個体群を形成し
ていることが考えられることから、予定地内の洞窟と他洞窟間との遺伝子交流が行わ
れていることが考えられる。
 標識調査の結果から、「A、CとあるいはE洞窟間の移動や他の洞窟との間を移動
している事例が確認されていることから、B、C、E洞が消失してもA洞窟やD洞窟
を含めた他の洞窟を利用するものと考えられる。(D洞窟では、コキクの標識装着作
業は行っていないが、コキクの生息が確認されていることから、A洞窟と同様に移動
先として考えられる。)
 C、E洞に生息するコキクは石垣島全体の数%程度である。
 移動が確認された洞窟周辺は、於茂登岳を中心とした樹林帯に広がっており条件の
よい場所である。
 これらのことから、B、C、E洞が消失しても、まず、A、D洞を含む他洞窟へ移
動するものと考えられる。移動先と考えられるねぐら及び餌場は環境収容力の範囲内
と考えられ、移動先の個体数が増加しても長期的な影響は少ないと考えています。

   2.A 、D洞が保全されることが「島全体の個体群」に影響が少ないとする根拠
    になっているが、洞口が事業予定区域からわずかにはずれるだけで(しかもこ
    れまでに公開された資料から判断すると、地下の主洞は事業区域内へ延びてお
    り、A洞におけるコキクの産室はドレーン層の直下にあたると考えられます)
    、両洞穴の環境がこれまでどおり健全に維持されると考える根拠は何ですか?

 (回答)A洞窟の洞口は滑走路中心から約450m離れた位置にありますが、最奥
部は、着陸帯端部の盛土箇所の直下約5mの深さに位置し、ドレーン層は最奥部より
更に海側によった着陸帯内部に設置されます。A洞窟はドレン層より上流側に位置し
ておりドレン層からの雨水浸透によりA洞窟最奥部が水没することはありません。ま
た、両洞窟周辺の樹林帯は現状のまま残存します。
 従って、洞内環境は現状の通り維持されるものと考えています。

   3.「環境影響評価準備書」に記載されていた環境保全対策は具体性に欠けるも
    のでした。また、現在作成されている「環境影響評価書」に、意見に対する
    回答が掲載されているとしても、その回答について検討する場は設けられてお
    らず、結果として事業主の提案した環境影響評価とその保全対策が適切でない
    場合でも、国民がそれを訴える場がありません。これでは、影響があると判断
    された際の事業の見直しなども含めた適正な環境保全措置を行うための、事業
    者と国民の合意が得られるとは思えません。以上の理由から、最低限、具体的
    な下記事項についての見解を現段階で確認しておく必要があると考えますので
    、下記事項についても回答をお願いします。
       a・保全目標個体頭は何個体ですか? 種別に回答してください
     b・事業スケジュールに合わせた保全目標を示してください
     c・保全目標の達成をモニタリングするための調査計画を示してください
     d・調査はどのような組織、メンバーが行いますか
     e・保全目標の達成を評価する必要がありますが、達成基準を示して下さい
     f・評価組織はどのようなメンバーで構成されますか
     g・評価結果は公表されますか。公表される場合、それはいつですか
     h・保全目標の達成に危惧が生じた場合、保全計画の見直しが必要になりま
       すが、速やかな対応ができますか
     i・保全目標の達成が困難と判断された場合には、誰がどのような対応をと
       りますか
     j・保全計画の中で、積極的にコウモリ類の生息環境を向上させる考えは
      ありますか

 (回答)
a.事業実施区域周辺の洞窟を利用している小型コウモリ類は、変動幅があり、具体
的に保全目標個体数を示すことは困難です。石垣島全体で総合的に判断すること
を考えています。

b.事業実施に合わせて早い時期に保全措置を実施していきたいと考えています。

c.具体的には、「新石垣空港整備事業に係る小型コウモリ類検討委員会」に図り、指
導・助言を得て実施していく予定です。

d.現在の所、NPO法人東洋蝙蝠研究所が調査を行っており、今後も調査をお願いた
いと考えています。

e.石垣島全体で総合的に判断することを考えております。具体的には、「新石垣空港
整備事業に係る小型コウモリ類検討委員会」に図り、指導・助言を得て実施していく考
えです。

f.評価組織は、事後調査委員会(仮称)を考えており、現在の環境検討委員会及び小
型コウモリ類検討委員会のメンバーを考えております。

   新石垣空港検討委員会(メンバー)

委員長  香村 真徳   琉球大学名誉教授           海藻生態学
副委員長  大森  保   琉球大学理学部教授       地球化学
          渡嘉敷義浩      琉球大学農学部教授            土壌学
          黒田登美雄     琉球大学農学部教授            地質学
     立石 庸一   琉球大学教育学部教授      植物生態地理学
     太田 英利    琉球大学熱帯生物圏            陸上動物学
                          研究センター教授
     酒井 一彦   琉球大学熱帯生物圏            サンゴ生態学
                          研究センター助教授
     金城 政勝   琉球大学熱帯生物圏            昆虫学
                          研究センター助教授
     仲座 栄三   琉球大学工学部助教授          海岸工学
          上村 真仁   (財)世界自然保護基金ジャパン  NGO
                          サンゴ礁保護研究センター職員
          崎山 陽一郎    (財)日本野鳥の会              NGO
                          八重山支部代表
          前田喜四雄      奈良教育大学
                          自然環境教育センター教授        哺乳動物学

 新石垣空港整備事業に係る小型コウモリ類検討委員会(メンバー)

委員長  東 清二        琉球大学名誉教授                昆虫学
          中村 久        秋吉台科学博物館 前館長        洞窟性動物
          前田喜四雄      奈良教育大学教授                哺乳動物学
     松島昭司    石垣市教育委員会                地元洞窟について
          向山 満        NPO法人コウモリの保護を        小型コウモリ類
                          考える会 代表

g.事後調査の結果は、報告書をとりまとめ、沖縄県本庁舎、八重山支庁、石垣市役
所等において公表することを考えています。

h.i.j.事後調査委員会(仮称)を設置する予定であり、専門の立場からの指導
・助言を受けて、環境影響の回避・低減措置の強化や改善を図る考えです。
以上が再度の質問状でした。

以下が、※2005年9月7日付で届いた回答文書です。

                                   土石第238号
                                   平成17年9月7日
  コウモリの会会長殿                
                         沖縄県土木建築部長
                            末 吉  哲

    回答書(土石第10915号平成17年3月31日)に対する再度の質問書について     

  平成17年6月12日付けで提出された標記の件について、下記のとおり回答します。

                記

  @「この委員会でどのような検討をしたのか」
  A「どのような指導・助言を得たのか」    

  (回答)
  検討委員会では、小型コウモリ類の保全対策としての、洞窟の保全、緑地等 'の創出
、人工洞等の活用、事後調査などについて検討を行い、以下のような事 項について指
導・助言を受けたところであります。
  
1小型コウモリ類利用状況調査について
   ・事業実施区域及びその周辺で、確認されている11洞窟の小型コウモリ類の利用状
況等調査結果から、小型コウモリ類が確認されている洞窟の保全やA、C洞窟の保全対
策について。

2 A、D窟の保全について
   ・A、D洞窟の周辺の土地を取得して、洞窟周辺の樹林帯、洞口環境、洞内環境の
保全に万全を期す。

3 餌場及び移動経路となり得る緑地の創出及び樹林の段階的伐採について
 ・.資料-2の図-1に示すとおり、約50m幅で連続して、採餌場及び移動経路となる緑地
を創出する。
    緑地の創出は、1年次から早期に植栽を実施し、樹種は現地の植物を利用する。

 4 工事中の騒音・振動対策について
 ・出産・哺育の時期(5月〜8月)及び冬季の休眠時期(1月〜3月)は、建設機械の騒音・
振動によってねぐらの利用を妨げないよう、一定の距離以内での作業を避けるなど配慮
する。         ′
5 B、C、E洞窟の保全対策について
 ・B、C、E洞窟については、洞窟を保全し、新たな洞口を設け小型コウモリ類の利用に
配意する。    

6 人工洞の設置及び既存トンネル等の活用について
 ・人工洞は、形状、規模、盛土厚等について、更に検討を加え早期に設置する。
 ・既存トンネル等の工夫については、入り口付近の緑化、内部の工夫を行う。  .    
       :               
7 事後調査について
 ・生息状況及び利用状況については、出産・哺育期の5月、6月、秋期及び冬季の休眠
時期1月又は3月に調査を行う。
 ・餌昆虫調査、洞内環境調査を実施する。
 ・A、D洞窟及び石垣島内において、標識装着を行い移動状況調査を実施する。       
            
  なお、具体的内容については、別添の小型コウモリ類検討委員会資料 (資料ー1〜3)
を参考にして下さい。

B「どのような措置を実施していく予定なのか」

 (回答)

 上記で回答した事項について、保全対策を実施していく考えである。

(追加)

 貴会からこれまで調査期間の要望のある、事業実施区域及びその周辺で、A〜E窟以
外に確認されている洞窟(11洞窟)について、参考までに現状等を次のとおり報告します
。  
 平成14年度、15年度、平成17年5月、6月に実施した調査によると(資料ー1の表ー1)、
小型コウモリ類の個体が確認されたのは3洞窟(A、H、K洞窟)であり、個体数は、A
洞窟では平成14年7月の調査で1個体、H洞窟では平成17年5月及び6月調査で1個体、K
洞窟では平成15年4月調査で8個体、平成17年5月調査で1個体、6月調査で3個体が確認さ
れている。
 11洞窟のうちH、K洞窟を含む7洞窟は、事業実施区域外にあることから、事業による
改変はなく、現状と同様に洞窟及びその周辺環境は保全されると考えられる。(資料ー1
の図ー1) 事業実施区域内にある4洞窟(A、C、F、G洞窟)のうちA、C洞窟は、豊水
期に水没し、A洞窟で1個体しか確認されていないことから、小型コウモリ類の集団で
継続的な利用は困難で重要なねぐらではないと考えられ、またF、G洞窟は奥行き2〜 
4m程度の規模が極めて小さい人工洞で、これまで小型コウモリ類は確認されていません
。
 なお、A、C洞窟の空間は残存し、引き続き水みちとなるようボックスカルバートで
飛行場の外側に導水する計画であり、ボックスカルバートについては小型コウモリ類が
洞窟への新たな出入り口として利用できるよう配慮していく。(資料-1の表ー3、図-2参
照)


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