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テレビ朝日「いきなり!黄金伝説」への事実確認と質問


「いきなり!黄金伝説」
     「いきなり!汚宅訪問。」(27件目)9月4日O.A.  埼玉県富士見市
           に対する、「事実確認と質問」について

                           コウモリの会
                           会長 山本輝正

前略

 わたしたち「コウモリの会」は、「コウモリに市民権を」を目標として、コウモリへ
の理解普及を目指した活動をしている団体(会員約400名)です。 

 さて、貴社(テレビ朝日)が9月4日に「 いきなり!黄金伝説」「いきなり!汚宅訪
問。」(27件目)として放送した内容につきまして、放送内容の事実確認と放送姿勢に
つきましての質問をさせて頂きます。

1 事実確認について。 
 以下の放送内容はどこまでが事実ですか?

 2階を片付けている場面で、アブラコウモリの飛んでいる映像が流れたあと、布団や
本の中からアブラコウモリではなく「ルーセットオオコウモリ」と思われる個体が出て
きました。別の場面では、窓を開けた状態の室内で、そのルーセットオオコウモリが部
屋の中を飛んでいました。また、その後、自然に帰してあげました、というテロップが
出ました。


2・質問について
(1)何で、ルーセットオオコウモリが埼玉県富士見市にいるのでしょうか?
  
    オオコウモリの仲間(大翼手亜目)は、日本では琉球列島以南及び小笠原にしか生
息していません。また、ルーセットオオコウモリの仲間(ルーセットオオコウモリ属)
は国内には生息していません。仮にペットとして飼育されていたものとしても、あのよ
うな場所を好む動物ではありません。どうしてそのようなものがそこにいるのですか?

    また、ルーセットオオコウモリを映像で流しながら、アブラコウモリの飛行を放映
するのは、亜目で異なる種をごっちゃにしたおかしな放送です。例えるなら、イヌの話
をしながらネコの映像を流すこと(どちらもネコ目)やリスの話をしながらネズミの映
像を流すこと(どちらもネズミ目)と同じです。

(2)「自然に帰した」とのテロップが流れましたが、どこに帰したのでしょうか。

 本来日本にいなかった生物を勝手に野外に放すことは大きな問題です。
 貴社でも他の番組等で、外国産の生物の放逐(移入種問題)等によるいろいろな問題
を取り上げていたかと思いますが、この様な行為あるいは放送の影響をどのように考え
ていますか?


(3) バラエティー番組でありドキュメンタリーというわけではないでしょうが、貴
番組のHPのBBSを読みますと、視聴者の中には「事実」と考えている人も多いと思
います。今回は、おそらく借りてきたルーセットオオコウモリを使っての「作り話」だ
と思いますが、その内容は、移入種問題に対する配慮を欠き、コウモリを初めとした野
生動物に対する偏見を助長するものだと考えます。どのような放送姿勢で取り組んでお
られるのでしょうか。


 以上について、貴社より回答をいただけますと幸いです。

 なお、この質問文および貴社の回答文につきましては、コウモリの会のHP及び関連の
MLに流させていただく予定ですのでよろしくご承諾のほどお願いいたします。

                          2002年9月 日
                          コウモリの会



<返答>・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

                                                     2003年9月19日
コウモリの会
会長 山本輝正様  
                        テレビ朝日編成制作局
                        「いきなり!黄金伝説。」
                       プロデューサー 寺田伸也

拝復
 初秋の候、貴会の皆様におかれましては益々ご隆昌のこととお慶びを申し上げます。

 さて、この度お問い合わせを頂きました件に関して、事実関係をご報告申し上げま
す。

 今回の放送で登場した「ゴミ屋敷」では、不衛生な環境の中、ネズミ・蚊など様々な
動物が大量に生息し、庭木の手入れが行き届いていないことから敷地内が密林状態とな
るなど、周辺住民からの苦情を聞いておりました。そのため、夕刻になると敷地内外に
コウモリが舞い、「ゴミ屋敷」室内にも入っているという情報もありました。

 その情報に基づく状況を再現するため、担当ディレクターが、動物プロダクションか
らコウモリを用意し室内に放し撮影しました。動物プロダクションに発注した際に、コ
ウモリに対する知識がスタッフに欠如していたため、借用したコウモリが日本には生息
していない「ルーセットオオコウモリ」であることを知らぬまま使用しました。

 撮影終了後、そのコウモリは動物プロダクションに返却しましたが、一部行き過ぎた
表現方法を用いたため、「コウモリの会」の皆様と視聴者の方々に大きな誤解を与える
結果となったことを深くお詫び申し上げます。この度は貴重なご意見をいただき誠に有
難うございました。

 とりあえず書面にて、ご挨拶申し上げます。
                                    敬具


<対応>・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 先に連絡しました。
以下の文章とともにHPへの掲載と他MLへの流布をいたします。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 テレビ朝日編成制作局「いきなり!黄金伝説。」回答に対するコメント


 バラエティー番組であるので、どこまで要求するかは各個人により要求が異なるかも
しれませんが、私たち「コウモリの会」としてはその「放送姿勢」に対して大きな不信
感を抱かざるを得ません。

 視聴者に対して「やらせ」であったことの説明をせず(現時点では、訂正等のテロッ
プは出されていないと思われる)、番組のHPの放送履歴のページから当日分だけを削
除しても、「視聴者の方々に大きな誤解を与える結果」を解消したことにはならなず、
視聴者は「事実」のこととしてとらえたままだと思います。
 今回の番組で、「誤解を与える結果」となったことについて「担当ディレク
ターが、・・・コウモリに対する知識がスタッフに欠如していたため、」と言う理由で
すが、視聴者からすればその程度(都会で飛んでいるコウモリは何なのか?何でも野外
に放してやればいいと考えているのか?等々)のことも調べずに放送番組を作成してい
るのかと言わざるを得ないと思います。
 
 これ以上番組作成当事者を追求することはしませんが、今後もこの番組が生物を扱う
場合には注意してみていくことが必要と考えます。

 皆さん方でも注意してみて頂きますようお願いいたします。

            2003年9月26日
                          コウモリの会

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